鉄部のサビ処理と塗装の秘訣!これを読めばあなたもケレンマスターに!
管理者用はじめに
折板屋根、トタン、鉄骨階段、鉄柱、鉄扉、その他鉄部・・・・
塗装する際、厄介なのが鉄部の経年劣化によるサビ。
改修する際は、サビ、既存塗膜の密着不良塗部除去等のための
下地研磨が必要になってくるかと思います。
では、その下地処理方法は、どのように、そしてどの程度行うべきなのでしょうか?
ケレンとは
「ケレン」とは一般的に、塗装前の下地処理のことを言います。
剥がれている塗膜や汚れを落として下地をきれいにすることというのが元々の意味のようですが、
塗料業界では「鉄部の下地処理」のことを言います。
ケレンをしないとどうなるか?
こちらの写真をご覧ください。
サビが多量についた状態ですね。
この下地処理(サビ処理)をおろそかにした状態で塗装をするとどうなるのでしょうか?
点サビが発生してしまっています。
このように、サビが浮き上がり、塗膜劣化を生じることに・・・・!
結果として、不具合が発生する原因となってしまいます。
ケレンの種類
そこで、鉄部の下地処理(サビ処理)を行う目安となるのが、
ケレンの方法です!
ではここで、令和6年7月に発売された、
「フローンメタルプライマーEPOⅡ」のカタログを見てみましょう!
吹付塗装を行う場合は、シンナー希釈の割合は最大20%です。希釈は塗料用シンナー、塗料用シンナーAを使用して下さい。
赤枠の部分をご覧ください。
「必ず2種ケレン以上を実施して下さい(3種、4種ケレンでは不十分です)。」
とあります。
では、2種ケレンとは・・・・?3種・4種とはどう違うのでしょうか?
こちらの表をご覧ください。
素地調整の程度 | 既存塗膜の状態 | 素地調整後の状態 | 工具・工法 | SSPC規格 |
1種ケレン | とくに腐食の著しい状態 | 塗膜、錆を完全に除去し、ピカピカした金属面とする。 | ブラスト法 | SSPC-SP5 SSPC-SP10 |
2種ケレン | 塗膜が劣化し、腐食のはなはだしい状態 | 塗膜及び錆を除去し、鉄肌をあらわす。活膜が存在する場合は残す。 | ディスクサンダーなど動力工具とワイヤーブラシなど手工具の併用 | SSPC-SP3 |
3種ケレン | 塗膜の殆どが活膜で部分的に損傷や発錆が見られる状態 | 全面に工具をあて劣化塗膜を除去し、発錆部は除去し鉄肌をあらわす。 | ディスクサンダーなど動力工具とワイヤーブラシなど手工具の併用 | SSPC-SP2 |
4種ケレン | 活膜であって変色・白亜化・付着物などが多い状態 | 粉化物及び汚れを除去し清浄にする。 | ワイヤーブラシやサンドペーパーなどの手工具 | ― |
※ SSPC 表面処理規格(アメリカ)
ちなみに・・・・
「フローンメタルプライマーEPOⅡ」とは・・・・?
下記記事をご覧ください!
東日本塗料に弱溶剤プライマーがない!?そんなことはありません!~フローンメタルプライマーEPOⅡ~
1種ケレン
1種ケレンのブラスト法は、
粒子の細かい研磨剤を被塗物に衝突させてサビ部分を除去する方法で、
完全に金属面が露出するまで研磨します。
特に、著しく塗膜状態が悪い場合に推奨する方法です。
ただし、粉塵が舞うため、作業者の健康、騒音など近隣への配慮が必要となります。
2種ケレン
ケレンの多くはディスクサンダーなどの電動工具を使用した作業が主になります。
活膜として機能していない塗膜やサビを落とす作業です。
3種ケレン
2種ケレンと同様の方法ですが、活膜は生かしつつ、不良塗膜部分の除去を行います。
4種ケレン
塗膜自体が活膜であり、粉化した塗膜表面や汚れを目荒らしする作業などが該当します。
一般的にはサンドペーパーやブラシなどを使用します。
研磨して、不良塗膜を除去した様子
おわりに
ケレン作業は非常に重要な作業です!
必要に応じて適切なケレンを行い、下地を健全に保ち、塗料を塗布して保全をします。
ですが、下地処理を怠ると、再度サビが発生したり、
せっかく改修して綺麗にした塗膜も剥がれたり、と、
塗膜不良になる可能性があるのです。
ケレンの程度は現場によって大きく変わってきます。
確認事項として、
★全体の何割がサビ発生しているのか
★活膜はどのくらいあるのか、
★現場環境で湿気や雨、塩害等による外部要因がどの程度あるのか
などを確認することが必要になってきます。
そして、よくお客様からご質問をいただくのが、
「サビがひどいのだけれど、どの程度ケレンするのが良いの?」
ということです。
これについては、サビの程度や塗膜の状態により異なります。
ケレンの種類によっては、近隣への配慮が必要にもなってくる可能性もあるので、
状況に応じ、現場に適切なケレン方法を選択することが重要です。