塗装で失敗しないための“3つの時間”講座
亀田 智代
塗料にまつわるいろいろな時間。
「塗装の際に材料の粘度が上がり塗れなくなってしまった!」
「塗ったものの足跡がついて残ってしまった!」
・・・などの不具合は、今回おさらいする“塗料にまつわる時間”を守る事で
防止できたかもしれません。
ここでは、
【可使時間】、【上塗り可能時間】、【歩行可能時間・重作業可能時間】
などの「時間」について、簡単におさらいしていきます。
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目次
可使時間とは
多成分系の塗料の場合、
材料を混ぜ合わせてから、良好な作業性や塗料の性能を確保できる間の時間のことを
「可使時間」といいます。
可使時間を超えた際、わかりやすいものだと粘度が上昇し、
レベリング性の低下や泡抜け不良を引き起こします。
また見かけ上、塗布可能な粘度を維持していても、
密着不良や本来の艶が得られないなど、
仕上がりを損なう恐れがあるので、注意が必要です。
特に注意が必要なのは高温時の厚膜塗料です。
過去にもお伝えしましたが、塗料を混合・撹拌した後、
缶内に放置しておくと急激に反応が進み、発熱してしまいます。
缶内の塗料の量が多い場合は発煙したり、材料が膨張する恐れがありますので、
材料保管時には高温になる場所や、直射日光を避け、
混合・撹拌した塗料は速やかに床面へ流し延べましょう。
缶全体、特に右側の発泡がひどい状態です。塗料自体が熱を持ち、沸騰したような現象が起きています。
缶も大変熱くなってしまったため、水を入れ、冷却しているところです。
また最初の材料を混合し始めますと、
基本的には床面を塗り切るまでノンストップになります。
事前に墨出し、塗装順序の確認をしておきましょう。

上塗り可能時間とは?
塗装終了後から次工程との塗装間隔の目安を、「上塗り可能時間」といいます。
上塗り可能時間を迎える前に次工程を塗装した場合は、
溶媒や反応ガスの揮発、塗膜の締まりが不十分になってしまい、
密着不良や塗膜のちぢれ、フクレ、割れ等、上塗り塗料の仕上がり不良が
発生する恐れがあります。
養生が不十分で発生したチヂレ(左)やフクレ(右)
また上塗り可能時間を超えてしまうと、次工程との密着性が低下し、
剥離の原因になりますので、
上塗り可能時間を過ぎてしまった場合は、
目荒らし後、塗料にあったプライマーを塗布してから次工程を塗布してください。
歩行可能時間・重作業可能時間とは?
塗料を塗り終わってから軽歩行や重作業が可能になる目安の時間です。
歩行可能時間が2時間の場合、
塗装後2時間の養生を目安に歩行することが可能になりますが、
車両や台車の走行などの作業を行うには、重作業可能時間以上の養生が必要になります。
重作業可能時間前にフォークリフトが走ってしまった際の写真。
タイヤ痕が残ってしまいました・・・・涙
また、施工直後に机の脚のような接地面が小さいものや、重量物を設置すると、
凹みが生じる可能性があります。
塗料が最終的な性能を発揮する完全硬化には、常温下(20℃程度)で約1週間の養生を要し、
それ以降は極端な凹みが生じることはありません。
ですが、施工直後はご注意ください。
凹みについては、冬期等の低温下では2週間程度の養生を要する場合がありますので、
ご注意ください。
おわりに
いかがでしたでしょうか?今回は塗料にまつわる時間について、改めて説明いたしました。
目安となる時間は温度によって変動し、
換気条件や湿度などの施工環境によっても前後しますのでご注意ください。
各製品カタログをしっかり読み、正しいやり方で施工することが重要です!
今年の夏も暑く、特に可使時間の部分では気を付けていた方も多いと思いますが、
冬期(気が早い?!)は、次工程や解放までの養生時間に注意が必要となります。

施工時期や現場環境に応じた最適な塗料の選定と対策をして、
きれいな塗膜を手に入れましょう!
材料選定に不安が残る方や、製品や仕様ついてのご質問、
その他ご不明な点等がございましたら、お気軽に弊社までお問い合わせくださいませ!
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